2026年3月20日金曜日

野球はラジオで楽しむべし

 


 先日終わったWBCの中継放送がネットのみ、地上波やBSでの放送がなかったことをリポートするテレビのニュース番組の中で、取材を受けたリトルリーグの選手の一人がこんなことをしゃべっていた。「野球の試合はラジオで聴くのがいちばんおもしろい。どんな場面か想像するのが楽しい」

 小学校5〜6年とおぼしき男の子の一言である。思わず「えらい!」と膝を打った。

 まだテレビなどなかった、自分が子どもだった頃のことが思い浮かぶ。家にあるほとんど唯一の電化製品といっていい5球スーパーのラジオが、プロ野球を楽しむ最大のメディアだった。

 小学生時代は早寝の毎日だから夜遅くの試合終了まで聴くわけにはいかなかったが、中学に進学するとラジオを通じての野球熱に火がついた。その頃住んでいたのは大田区の蒲田で、当時のひどい電波事情にあっても電波がスムーズに届くラジオ関東(現ラジオ日本)を選局して聴いた。試験の時期などは、試験勉強をしながらというながら族だった。


渡辺謙太郎アナによる実況の楽しさ

 ラジオのプロ野球中継でいちばん印象的なのは、それより少しあと、高校時代以降のことになる。何かというと、こちらはラジオ関東ならぬラジオ東京(TBS)のナイター中継のおもしろさ。特に、渡辺謙太郎アナが担当の放送は楽しかった。


 「謙太郎節」と呼ばれる独特の話法を駆使した実況は、他のアナウンサーにはない格別の魅力があった。例えば、外野手が凡フライをぽろりとこぼす。すると、この人は「バカ、バカ!」と平気で口にするのだ。

 もう一つ、「誇張」のおもしろさもあった。「打った、打球は右中間へ、センターが追って追って飛びついた!」という実況が、実はさほどの際どいプレーではなかったりした。絵のないラジオ中継放送ならではの楽しさである。

 「プロ野球中継に一時代を築いた」と評された渡辺アナだが、2006年11月14日に76歳で亡くなっている。

0 件のコメント:

コメントを投稿