久々に「満月工房」(http://mangetsu.net/)にアクセスする。陶芸家丸田秀三君のサイトだ。
開設されたのは2001年の11月。今年で丸24年を経たことになる。個人の運営でこれだけ息の長いサイトは珍しい。
内容も多彩である。ほぼ毎日更新される写真のページ「otukimi 2」に加え、展覧会案内の「exhibition」、陶芸作品を一覧できる「clay works 」、インド音楽など好みのものを紹介する「my favorites」……中には更新が途絶えたままのページもあるが、一人の陶芸家の内的外的世界が詰め込まれている。
「my favorites」の「food」という項目には「蕎麦」と書かれているが、彼は蕎麦打ちの名人でもある。実際に食したのは個展で一度、打ち立てを送ってもらって一度の2回しかないが、手製の十割蕎麦もそばつゆも絶品だった。
魅力溢れる白磁の湯呑み
陶芸家としての丸田君は、釉薬を使わない「無釉白磁(磁器焼き締め)」という独自の技法で知られる。こちらはその技法から生まれた作品を展覧会で見る見物人でしかないが、20年ほど前、白磁の湯呑みを買った。これは素晴らしい買い物だった。
手元に届いた湯呑みではじめて清酒を呑んだときの驚きは、いまも記憶に鮮やかだ。湯呑みそのものの口当たりのよさだろう、酒がいっそうまろやかに感じられた。酒の味わいは、酒器で変わるのだ。
ところが、そのことを信じない人がいる。前回このページでふれた川崎貴嗣さんはその一人で、一度酒場で軽い論争になったことがある。言葉で説明してもらちがあかないので、そのときは後日丸田作ではないが手元にあった好みの酒盃を送った。
すぐにEメールで連絡があった。「日本酒はいつも無味乾燥なグラスで飲んできましたので、独り酒でもそれなりにある趣や情緒のかけらもないまま今日に至っております。頂戴した酒盃で酒を愛でる気持ちが一変するかも知れません」と書かれた件名「酒盃恵与を謝す」のメールはいまもPCに残っている。日付は2012年12月29日。川崎さんが肺癌を発症した直後だった。


0 件のコメント:
コメントを投稿